宅地他獲物取引と新不動産登記法
解説 宅地他獲物取引と新不動産登記法 平成17年7月
社団法人 全国宅地建物取引業連合会
要点6 保証書制度の廃止と、新たな「事前通知制度」
登記済証がない場合の「保証書」の制度は廃止されました。保証書に代わる原則方式として、申請と同時に本受付され、登記所から確認の通知書を登記義務者(売主)本人に確実に受領させる「新たな事前通知制度」が設けられました。
要点7 前住所通知
登記済証(権利証)の提出ができない場合の所有権に関する登記の申請については、申請がされた日以前の3ヶ月間内に登記名義人(売主)の住所について住所変更の登記がされているときは、「事前通知」のほかに登記簿上の前住所地に宛てて、登記の申請があった旨が通知されます。
要点8 特則としての司法書士による本人確認制度の導入
保証書制度に代わる特則として、「資格者代理人による本人確認制度」が設けられました。もう一つの特則として「公証人の認証書」の制度も新設されました。これらの場合には「事前通知」が省略されます。
(1)資格者とは、その登記の申請する「登記申請を業とすることのできる代理人」のことで、権利登記の場合は、司法書士と弁護士です。
登記申請を代理する司法書士は、売買契約にもとづく登記に関し間違いなく登記上の売主かどうか、または売却する不動産に間違いはないか、売買の意思の確認などの「人・もの・意思の確認」を総合的に調査確認して申請しています。資格者の執務の実態を考慮して、その調査確認の報告を「本人確認情報」として添付している場合には、原則方式の事前通知を省略するという特例を設けました。登記官がこの本人確認情報が相当なものと判断すれば、権利証がなくとも登記は直ちに審査され完了しますので、迅速な取引の要請から認められた制度といえます。立会取引の場合には、この方法を利用することになるだろうと思われます。
資格者による本人確認は、本人と必ず面談して面前確認します。本人と面識のない場合には、身分証明書の提示や権利取得経緯等の質問等により厳格な確認がなされます。(下記の本人確認情報の記載例参照)
遠隔地や外国に居住する登記義務者の場合には、復代理等の活用か事前通知で対応するほかありまあせん。
法人の場合ですと、特に大企業等の代表者の本人確認等は実際に行えるのか困難な場合が想定されますので、このような場合には組織内部で権限の分掌がある者であることを証明する「業務権限証明書」を併せて提出してもらい、その代表者に代わるべき者を確認することになります。
(2)なお、表示登記においても合筆登記の申請の場合などには登記済証を必要としますので、それを提出できない場合には、土地家屋調査士も「登記の申請の代理を業とすることができる代理人」として、司法書士と同様に本人確認情報の提供ができます。
ただし、その申請代理人である土地家屋調査士に限りますので、司法書士に本人確認をしてもらって、申請だけを土地家屋調査士が行うということはできません。
(3)新法においては、もう一つ別の特則として「公証人による認証書の添付」方法も採用されております。(*1)
①本人申請の場合に、申請書に申請人本人が署名押印したものであることを認証した場合(*2)
②代理人申請の場合に、代理人への委任状に申請人本人が署名押印したものであることを確認した場合(*3)
これは、公証役場で公証人に面談して本人確認をしてもらい司法書士に対する登記委任状等に面前で署名押印(記名押印)をしたことの認証文を付してもらう方法です。(*4)
この場合にも、必ず本人と公証人との面談による確認が必要ですので、代理人が行うことはできません。また、本人を確認するための実印・印鑑証明書や、運転免許証やパスポート等の公的な証明書が必要です。
なお、司法書士の登記の受託に際し、公証人の認証文付きの委任状を持参してきたからといって、登記申請代理人の司法書士が本人確認の義務を免責される訳ではないので、この制度を利用する場合は、登記義務者(売主)が遠隔地に居住し面談できない場合等に補充的に利用されることになると思われます。
本人確認情報
○ ○ 法務局 御中
平成○年○月○日
当職は、本件登記申請の代理人として、以下のとおり、申請人が申請の権限を有する登記名義人であることを確認するために必要な情報を提供する。
○○県 東西市 南北町 1丁目2番3号
司法書士 甲 野 太 郎 (職印)
(登録番号○○司法書士会12345号)
1.登記の目的 所有権移転
2.不動産 東西市南北町2丁目4番3の土地号
不動産番号 No.789123654
3.登記識別情報を提供できない理由 失効
4.申請人 ■登記義務者
住 所 東西市南北町3丁目5番8号
氏 名 宅 建 二 郎
生年月日 昭和30年8月6日生
5.面談の日時・場所・状況
日 時 平成17年10月20日午前10時00分(快晴)
場 所 当職事務所
状 況 登記義務者が、本件不動産を売却するにあたり、登記申請の必要書類の事前確認等を行うため当職が面談した。
同席者 ○○住宅販売 ○○営業所 宅地建物取引主任者B
6.申請人との面識の有無 面識がない
7.面識がない場合における確認資料
当職は、申請人の氏名を知らず、かつ面識がないため、申請人から下記確認資料の提示を受け確認した。
確認資料の特定事項及び有効期限
■第一号書類 □第二号書類 □第三号書類
■名称 ○○県公安委員会発行の運転免許証 写真付き ■写し添付の有無 ■あり
特定事項 ■「別添写しのとおり」
8.登記名義人であることを確認した理由
上記の本人確認書類につき、以下のとおり確認した。
免許証の写真により本人との同一性を確認し、その外観・形状に異状がないことを視認した。住所・氏名・年齢・干支等の申述を求めたところ、正確に回答した。
(1)規則に定める書類以外の書類確認
本物件の権利取得に関する書面ならびに本件物件との関連性を確認できる下記の書類の提示を受け本人であることを確認した。
■物件相談時の遺産分割協議書、■相続税申告書、■固定資産税納付領収書
(2)面談時の聴取事項
□権利取得経過について尋ねたところ、本件不動産は、父親乙川大五郎から相続した物件であり、相続登記の経緯について正確な経緯を述べた。また、登記識別情報を失効した理由は、相続の際に、他の共同相続人もその内容を知ったことから失効の申出をしたという合理的な理由があり矛盾がない。
□本件物件に関する情報について、現在駐車場として貸している土地であること、その管理を本件売買の仲介不動産会社に委託していること等の説明があり、同席者Bに尋ねたところ相違ないとの回答を得た。
□その他疑義を生ずる事情等は存在しなかった。
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